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ドレスコードについて考えてみた Ver1.03

えっ、ドレスコードなんてあるんですか?  まいったな…。

と言われました。 FUJIKINAのことです。

記念式典や発表会で”ビジネスカジュアル”のドレスコードが指定してあったことは記憶にあるけど、カメラ関連のファンミーティングでのドレスコードは過去に経験がないです。

※軽装(Tシャツ・ジーンズ・ハーフパンツ・サンダル等)でのご来館はご遠慮ください。

という注意なので、ドレスコードとしてはかなり緩めですし、イベントとして設定したものではなく会場によるものみたいですが。

それでも、参加のハードルを下げるのを最優先に考えるのが一般的だから、珍しいのではないでしょうか。

といってもドレスコードがあることが、参加者のことを考えてないというわけではありません。

ドレスコードは、それを意識するのが面倒でない人にとってはすごくありがたいものです。きちんとルールを守っている限りは、同じコードを有しているという証で、とりあえずは結ばれることができるから。今回のようなケースなら会場の雰囲気を統一することもできる。ルールを定めているおかげで安心して公園で遊べるのと同じこと。「自由に楽しむ権利があるはずだ!」というのとは話が違います。

これは言語に置き換えればわかりやすく、同じ言語で話せるってことは、近い文化圏にあり、共通の価値観を有していると、とりあえずは考えることができます。フランスとモロッコみたいな例はあったとしても、とりあえず。これは初対面の人たちが集まって時間を共有するのに、とても重要なことです。

個人的には就職の面接も、ある種のドレスコードだと思っています。黒ずくめというのに検討の余地はあっても。高校球児だって多分そう。スポーツとしてのルールではなく、高校球児らしさというドレスコードがある。

ドレスコードについて考えたとき、ふたつ思い出すエピソードがあります。

ひとつは最近の、おぎやはぎの小木さんがムッシュかまやつさんのお別れ会のときデニムで参列してしまったというニュース。森山良子さんの「正装じゃなくてもいいんじゃないか」とのアドバイスを曲解してしまったようです。すごく気まずかったとか。

もうひとつはクリス・マーティンとグウィネス・パルトロウの元夫婦が、ファーストクラスに乗ろうとしたとき「その格好ではどんなにお金を払ってもファーストクラスに乗せるわけにはいかない」と航空会社から搭乗を断られたこと。クリス・マーティンはカーゴパンツみたいの履いていたみたい。ブランド品だろうし、よって値段は安いスーツなみかもしれないし、きれいに洗濯はしてあっただろうけれど。

上の例でわかるように、ドレスコードはプロトコルの一種と考えることもできて、つまりは儀礼であり、暗黙の了解であり、相手(ホスト)に対しての敬意でもあると。

ただ難しいのは、コードであるからにはリテラシーが関係してきて、言語と同じようにコンテクストによって解釈が変わってしまう場合があります。

ネイビーブレザー&ボタンダウン&ニットタイ&グレーのウールパンツ&黒のプレーントゥと、「にくまれそうなNEWフェイス」から「キャンドルの瞳」あたりの吉川晃司さんが着ていたようなルーズなダブルのスーツにリザードの靴でいるのと、後者のほうが「ちゃんとした格好」だと判断する人は少なからずいるはずです。

でもコードであるからには明確なルールはあります。「飲み会が座敷かもしれないからブーツは止めておこうかな」といった気遣いとは違う。それさえ守っておけば大丈夫というガイドがある。

オシャレな格好をしなければならないとか、絶対にウケないとまずいとか、そういうセンスを問われる大喜利みたいなものではないです。

もうひとつ大事なのは、どっちがカッコいいかという話とはまるで別の問題だということ。

これは写真だって同じだと思います。

注釈がなく並んでいたら左から見る・・・とか、ルールがいろいろある。ロラン・バルトならそれをラングと呼ぶかもしれない。写真そのものが、画像を用いたコードだと考えることもできます(ぼくはこの説を支持している)。良い例がファッション(というかオシャレ)で、コードによる”読む&読まれる”の戯れです。

60年代のニューヨークの社交会にドレスコードがなかったはずがないから、そのパーティーにブレザーとジーンズで参加していたアンディ・ウォーホルなどは、存在自体がアートだったんだなと感心します。ルールがあるからこそそれをハズす楽しみと刺激がある。作品もそうだけれど、生き方そのものが従来の価値観に揺さぶりをかけていた。

ということで、「ドレスコードがあって面倒だな」と思うのではなく、そのなかでどれくらい遊べるかを楽しむことができたならと期待しています。特に今回のドレスコードなんて、あってないようなもの。

こういうとき、セルジュ・ゲンズブールならどんな格好で参加するだろうか、とか考えるの好きです。

オシャレなミュージシャンと言えば、ポール・ウェラーとブライアン・フェリーと相場が決まっていますが、ラフに着崩すことに関してはセルジュ・ゲンズブールがいちばんだと思います。フォーマルの破壊者ジェーン・バーキンという後ろ盾があったにせよ。ポール・ウェラーはさすがはイギリス人で、スーツにスニーカーを合わせるのは醜いことだと言い切っているし、ブライアン・フェリーはカジュアルな服もシックにしてしまうほうの天才だと思うので。

最後になりましたがクイズを。

ショーウィンドウのマネキンをいくつか撮ってきました。これをドレスコードでフォーマルな順に並べてみてください。

模範解答はあっても、絶対的な正解はないと思います。正解があるなら、ぼくが知りたい。

*構図の関係で靴が入ってないのは許してください。

ドレスコードで靴はかなり重要なのだけれど、経験上かなり大目に見られているように感じるから。

エントリーno.1

H&Mのジャケット&ジレ&タイのチェック揃え。

「このままください!」という人いるかな・・・。

No.2

ブルックスブラザーズのジャケパン。

シャツの襟のロールと袖丈が最高!

No.3

ISETANのカーキのダブルのセットアップ。

フラワーホールに花が! シャツはブルーにしたいところだけど渋い。

No.4

ボリオリのアンコンジャケットとタートルニット。

ラペルとかディテールが超美しい。

No.5

エルメネジルド・ゼニア。

アスレジャー意識しているようなスタイル。ソールの白がアクセント。

No.6

これもボリオリ。

ツィードっぽいけど、季節感もドレスコードには含まれるのかな。

No.7

H&M

フォーマル度をトランプに置き換え、いちばんカジュアルなのが2、いちばんシックなのかエースだとしたら、ネクタイにベストって8くらいはあるかな? 6くらい?

奥は短パンだから、今回のドレスコードだとNG。

No.8

スーツカンパニー

ボウタイ&スリーピースの鉄板スタイル。

No.9

Gucci

この遊びゴコロをどう捉えるか。

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